近年、抗老化成分として話題になっているNMN。NMNによる若返り効果は、2016年にワシントン大学の医学部教授によって発表されて以来世界中で注目されており、現在も研究が続いています。
NMNは体内で自然に生成されるものですが、年齢とともに減少していくため、NMNが含まれる食材やサプリメントなどから摂取するのが効果的です。
この記事では、NMNと老化予防の関係をはじめ、期待できる効果や摂取量の目安、NMNが含まれる食品の中で代表的な食材についてご紹介します。
1.NMNとはビタミンのひとつ
NMNとは「ニコチンアミド モノヌクレオチド」の略称で、ビタミンに近い物質です。
NMNは細胞のエネルギー源として活用されており、NMNから作り出される補酵素「NAD」が多いほど若々しい細胞を保つことができるといわれています。
NMNは体内で自然に生成される成分ですが、年齢とともに減少します。
これにより老化が進み、体力の低下や体調の悪化、疾患など、さまざまな変化が生じるようになると考えられているのです。
そのため近年では、サプリメントや点滴などからNMNを積極的に摂取し、老化を予防しようと考える人が増えています。
1-1.NMNがNAD+に変わることで身体環境をサポートするといわれている
抗老化成分として注目されているNMNですが、実際に老化予防の働きをするのはNAD+という成分になります。
NAD+とは(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の略称で、細胞内のエネルギー産出に不可欠な成分です。
NAD+は老化をコントロールする遺伝子として知られる「サーチュイン遺伝子」と深く関係しており、NAD+が多いほどサーチュイン遺伝子が活性化する、つまり若々しくいられるといわれています。
しかし、NAD+は分子量が大きすぎるため、そのまま摂取してもNAD+を増やすことはできません。そのため、NAD+の前駆体であるNMNが注目されているのです。
NMNは、体内に吸収されるとNAD+に変化し、身体機能の維持や酵素の働きをサポートすると考えられています。
また、こういったNAD+の働きは細胞を活性化させ、以下のような効果が期待できることも研究などからわかってきています。
老化防止
NAD+の増加はサーチュイン遺伝子や細胞を活性化させるため、老化防止にとても効果的です。サーチュイン遺伝子は老化を防止するための重要な遺伝子で、老化したDNAを修復する働きがあります。また、延命なども期待できることから「長寿遺伝子」とも呼ばれています。
筋力の改善効果
NAD+は、老化にともなう糖尿病や認知機能の低下、筋力などの改善効果が期待できます。また、高齢者がNMNを経口摂取した場合においては、歩行速度や握力においても有意な改善が認められています。
睡眠改善
NMNと睡眠に関する調査によると、NMNの摂取前と摂取2週間後では、熟睡度、寝つき度、リラックス度、起床時の目覚め感がいずれも上昇したことがわかっています。
このことから、NAD+の増加は睡眠改善にも効果的であるといえるでしょう。
身体能力の低下抑制をサポート
NAD+の増加は細胞や組織の機能改善だけでなく、下肢機能の効果的な改善も期待できます。そのため、身体能力の維持や低下抑制のサポートに効果的です。
また、身体能力のサポートは老化にともなう疾患や病気の予防にもつながります。
<効果が期待できるおもな疾患>
- 神経疾患
- 糖尿病
- 眼機能
- アルツハイマー病
- 脳内出血
- 肥満+合併症
- 虚血再灌流障害 など
眠気の予防や倦怠感の解消
高齢者の眠気や疲労感は生活の質を低下させる可能性があります。しかし、NAD+が増加すると睡眠の質が上がるため、日中の眠気予防を期待できます。
また、NAD+が増加すると身体能力も低下しにくくなるため、身体的・精神的な疲労感も解消されやすくなります。
2.NMNの摂取量の目安は?
NMNの抗老化効果に関する検証や研究は世界中で行なわれているものの、効果的な摂取量は明確になっていないのが現状です。
「一日125㎎」「体重×8㎎」などさまざまな説や研究があり、なかには一日1,000mg以上を摂取する研究やクリニックなどもあります。
ホリエモンこと堀江貴文氏や、「LIFESPAN老いなき世界」の著者であるシンクレア教授といった著名人も、一日1,000 mg程度服用しているようです。
東京大学が行なった臨床実験では、一日250mgを目安に12週間NMNを経口摂取した高齢者男性に筋力やパフォーマンスの改善が認められていますが、五十嵐助教は、NMNの投与量を今後1日1,000~1,200㎎に増やして実験することを検討しています。
また、27~50歳のアマチュアランナーを対象にした中国の研究においても、1日1,200㎎のNMNを6週間摂取しても安全性に問題はなかったとしています。
とはいえ、東大や筑波大学などの研究では、現状250mgで研究が進められていることから、250mgを目安にすると良いでしょう。
3.NMNが含まれる代表的な食品を紹介
NMNは普段の食事からも摂取可能ですが、摂れる量はわずかです。また、NMNは熱に弱いため、サプリメントを併用しての摂取が効果的といわれています。
以下は、NMNを含む食品のうち代表的な食べ物と、NMNの含有量です。
枝豆
枝豆には100g中に、0.47~1.88mgのNMNが含まれているといわれています。摂取量の目安である250㎎を摂取するには、一日に53.2kg、約82,500粒の枝豆を食べる必要があります。
ブロッコリー
ブロッコリー100g中には、0.25〜1.12mgのNMNが含まれているといわれています。摂取量の目安である250㎎を摂取するには、一日に100kg、約5,000房ものブロッコリーを食べなければなりません。
アボカド
アボカド100g中には、0.36〜1.60mgのNMNが含まれているといわれています。摂取量の目安である250㎎を摂取するには、一日に69.4kg、約555個のアボカドを食べる必要があります。
トマト
トマト100g中には、0.26〜0.30mgのNMNが含まれているといわれています。摂取量の目安である250㎎を摂取するには、一日に96.2kg、中サイズで約633個のトマトを食べなければならない計算になります。
上記のように、食品に含まれるNMNは微量であるうえ、NMNは熱に弱いため熱を通さずに摂取する必要があります。したがって、食事だけでNMNを補おうとするのは現実的ではないため、サプリメントや食品※の両方から補っていくのがおすすめです。
※厳密にはサプリメントも食品に含まれますが、ここでは食材のことを食品と表現しております。
まとめ
NMNはビタミンに近い物質のひとつで、体内でNAD+へ変わることで老化防止をはじめ、筋力や睡眠の改善、身体能力の低下のサポートなど、さまざまな効果が期待できます。
NMNはブロッコリーや枝豆などの食品にも含まれますが、熱に弱く火を通さずに食べる必要があるほか、摂取できるNMNは微量です。そのため、サプリメントで補うのが主流となっています。
ただし、効果的な摂取量は明確になっていないのが現状です。
一部の研究では一日1,200mgを摂取するものもありますが、東京大学の臨床実験では一日250㎎のNMNで筋力やパフォーマンスの改善が認められています。
このことから、まずは一日250mgを基準としてサプリメントや食事から摂取をしてみるとよいでしょう。