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今日から始める簡単フレイル予防術

今日から始める簡単フレイル予防術

「最近つまずきやすい」「階段が面倒になった」──そんな小さな変化は、将来の自由を奪うフレイル(虚弱)の入り口かもしれません。 日本では65歳以上の約10%がフレイル状態にあると推計され、放置すると要介護や寝たきりにつながる可能性があります。さらに全国98%の自治体が後期高齢者健診でフレイル質問票を活用しており、いまや健康寿命延伸の“国民課題”となっています。しかし逆に言えば早期に気づき、筋力・栄養・社会参加を整えれば元の健康に戻れるのがフレイルの特徴です。

Contents

フレイル予防で得られること

  1. 医療費・介護費の抑制 … 転倒や骨折を防ぎ、将来の出費を減らせる。
  2. 趣味・旅行を続けられる … 体力とバランス能力を保つことで行動範囲が広がる。
  3. 心の若さをキープ … 人との交流が増え、抑うつや認知機能低下を防ぐ

30秒セルフチェック|あなたのフレイル度を今すぐ診断

まずは現状把握。下の7項目のチェック数を数えてみてください。2項目以上該当したらフレイル予備軍、4項目以上なら専門家への相談を検討してみてください。

□ 半年前より体重が2〜3 kg以上減った

□ 歩く速度が遅くなったと感じる

□ 週1回以上の運動習慣がない

□ 最近疲れやすい

□ 握力が弱くなった

□ 外出頻度が月1回未満

□ 口の乾き・かみにくさを感じる

このチェックリストは、厚労省「後期高齢者の質問票」やFried基準をもとに再構成しています。結果は目安として活用し、気になる場合は医師・理学療法士にご相談ください。

筋力+バランスを取り戻す5分エクササイズでフレイル予防

いすスクワット(10回×2セット)

  1. 椅子の前に立ち、足を肩幅に開く。
  2. 背すじを伸ばし、お尻を椅子に軽く触れるまでゆっくり腰を下ろす。
  3. 膝がつま先より前に出ないよう注意しながら立ち上がる。

片足立ち(左右各30秒)

キッチンや机に指先を添え、片足を軽く浮かせる。ふらつきが減れば支持物なしでチャレンジ。

ポイント

  • 毎日続けることで下肢筋力と体幹のバランス感覚が向上。
  • 転倒リスクを減らし、歩行スピードの改善も期待できます。

高タンパク&ビタミンD食で体を作り直す|今日の献立例付き

筋肉を維持するには体重1 kgあたり1.2 g程度のたんぱく質が目安。体重60 kgなら1日約72 gです。
合わせてビタミンDとカルシウムを摂ると筋肉合成がスムーズになり、骨も強化されます。

食事 メニュー 摂取目安
納豆卵かけご飯+鮭の塩焼き+味噌汁 たんぱく質25 g
鶏むね肉とブロッコリーのサラダ+全粒パン たんぱく質22 g
さばの味噌煮+豆腐とほうれん草の炒め物+きのこ汁 たんぱく質25 g

孤立はフレイルの味方? 社会参加で心と脳を活性化する方法

運動と栄養がそろっても、人とのつながりが希薄だとフレイル進行のリスクは約1.5倍に跳ね上がると報告されています。
月1回以上は地域の「通いの場」、趣味サークル、オンラインコミュニティに参加し、会話と笑いで脳を刺激しましょう。

  • 自治体の介護予防教室:市区町村の広報紙や公式サイトで検索
  • 趣味のオンラインサロン:旅行、園芸、写真など興味あるテーマを選択
  • ボランティア活動:子ども食堂、高齢者支援の配食サービスなど

7日間フレイル予防プログラム|未来の自分に“動ける毎日”を贈ろう

曜日 運動 食事 社会参加
いすスクワット 魚料理 友人に電話
片足立ち 牛乳+チーズ 近所を散歩
いす体操動画 豆腐ハンバーグ ラジオ体操の集まり
ウォーキング20分 鶏むねサラダ オンライン講座受講
いすスクワット 卵+納豆 図書館イベント
ストレッチ きのこ汁 商店街で買い物
休養・深呼吸 好きなフルーツ 家族と昼食

プリントして冷蔵庫に貼れば、達成状況を一目で確認できます。

よくある質問Q&A|フレイル予防の疑問を解決

Q. 何歳から対策を始めるべき?
A. 60代前半からの介入で要介護リスクを最大30%下げた研究があります。

Q. サプリメントは必要?
A. 食事で基準を満たせない場合に検討を。医師・管理栄養士に相談するのが安心です。

Q. 持病があっても運動していい?
A. 医師に運動許可を得たうえで、強度を調整すれば多くの慢性疾患でメリットがあります。

まとめ|フレイル予防で“好きなことを続ける10年”を手に入れよう

  • 現状を知る:セルフチェックでリスクを把握
  • 行動を起こす:運動・栄養・交流の3つを今日から1つずつ
  • 続ける仕組み:7日間プログラムで習慣化

まずはいすスクワットを10回、今この場で試してみませんか?「動ける毎日」は小さな一歩から始まります。


参考文献・統計

  • 厚生労働省「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第3版」(2024年改訂)mhlw.go.jp
  • 厚生労働省「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン改定について」資料(2024年)mhlw.go.jp
  • 生活習慣病オンライン「フレイルの有病率は65歳以上の高齢者全体の約10%」(2024年11月28日)seikatsusyukanbyo.com
  • 健康長寿ネット「フレイルの診断」

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