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NMNに期待できる効果・効能とは?体内での作用についても解説

NMNに期待できる効果・効能とは?体内での作用についても解説

この記事では、NMNと老化予防の関係をはじめ、期待できる効果や摂取量の目安、NMNが含まれる食品についてご紹介します。

【この記事の監修者】

監修者プロフィール

井林雄太(いばやし・ゆうた)

総合病院勤務。大分大学医学部卒。日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。

Contents

医学の進歩にともないヒトの寿命は延び続け、「人生100年時代」も夢ではなくなってきました。

しかし、「寿命が長いこと」と「健康であり続けること」は、必ずしもイコールではありません。実際に日本では、多くの方が晩年の10年前後を「日常生活に支障のある、不健康な期間」として、支援や介護を受けながら過ごしています。

そこで注目されているのが、若返り効果・抗加齢作用があるとされる「NMN」です。今回は、NMNの特徴や期待できる効能・効果、体内での作用や摂取方法などを紹介します。

1.抗老化作用があるといわれるNMNとは?

NMNは、正式には「ニコチンアミドモノヌクレオチド(Nicotinamide MonoNucleotide)」と呼ばれる成分です。NMNは緑黄色野菜・エビ・牛肉などさまざまなものに含まれ、ヒトの体内でも生成されています。

もっとも、食品に含まれるNMNはごくわずかです。比較的含有量が多い枝豆でさえ、一日分とされる100mgのNMNを摂取するためには約21㎏(約33,000粒)が必要です。

また、体内のNMN生産量は加齢とともに減少します。NMNが少なくなると加齢による変化が始まり、身体機能や認知機能の衰えが進むと考えられています。

2000年代以降、世界中で「NMNの摂取により、見た目の若々しさや身体機能に良い変化が生じた」という研究報告が相次ぎました。こうして現在、NMNは「若返り成分」「抗老化成分」として注目されています。

関連記事:「NMNが含まれる食品にはどんな食べ物がある?NMNの効果も解説!」

2.NMNに期待できる効果・効能

それでは、NMNには具体的にどのような効能・効果が期待できるのでしょうか。ここでは身体状態や肌トラブルの改善、さまざまな疾患に対する作用など、特に注目されている効果を紹介します。

2-1.若返り効果による身体状態の改善

一般的に、加齢にともない基礎代謝は低下し、痩せにくく太りやすい体へと変化するものです。しかし「若返り成分」ともいわれるNMNを摂取すれば、エネルギー代謝が促進され、加齢による太りやすさの抑制も期待できます。

また、NMNを長期間にわたって摂取した高齢者は、摂取していないグループと比較して筋力とパフォーマンスが改善されたという研究結果もあります。そのため、老化にともなう運動機能の低下予防効果も期待できるといえるでしょう。

NMNの若返り効果による身体状態の改善は、それだけではありません。

運動中の呼吸がしやすくなる・睡眠の質が良くなる・筋肉がつきやすくなる・体力が回復しやすくなるといった効果も期待できます。

さらに、NMNは認知機能低下の改善に加えて集中力・思考力の向上についても期待され、現在もさまざまな分野で研究が行なわれています。

2-2.加齢による肌トラブルの改善

NMNには、肌トラブルの改善効果もあると考えられています。

NMNを摂取すると新陳代謝が向上して肌のきめが整い、ハリ・ツヤのアップと同時に、シミ・シワ・たるみ・くすみといった年齢肌の改善にもつながります。継続的にNMNを摂取することで、年齢を感じさせないより美しい肌に近づけるでしょう。

2-3.さまざまな疾患の改善

NMNは、さまざまな疾病の改善にも効果があることが報告されています。

2-3-1.糖尿病

「世界初のNMN臨床試験に関する成果論文」として話題になったのが、糖尿病に対する研究です。

この研究では、NMNの摂取により骨格筋におけるインスリンの感受性が25%アップし、血液中の糖を取り込む機能が改善したことが報告されました。

この効果は、体重を10%落としたとき、あるいは糖尿病治療薬を投与したときの効果に匹敵する可能性があります。

2-3-2.脂質代謝

若い男性を対象とした試験では、運動中の脂質代謝が向上し、持久力アップが期待できる結果が示されました。脂質代謝が上がるということは「体脂肪を落としやすい」ということでもあるため、ウエイトコントロールにも有用と考えられています。

2-3-3.アルツハイマー型認知症

認知機能改善に関する研究も、数多く行なわれています。

特に注目されているのが、アルツハイマー型認知症に対する効果です。研究では、NMNの投与により、認知症のマーカーでもあるβ‒アミロイド産生・アミロイド斑などの減少が明らかにされています。

2-3-4.その他の疾病に対する効果

NMNの疾患に対する効果は、ほかにも多数報告されています。例えば、骨密度の低下を抑えて骨粗しょう症を予防する効果や、網膜機能を維持して目の老化を抑える効果などです。さらには、神経機能障害の回復や、心不全や腎不全などにも効果がある可能性が示唆されています。

3.NMNは体内でどのように作用する?

NMNは体内でNAD+という物質に変換されたあと、老化や寿命に関係する遺伝子(サーチュイン遺伝子)を活性化して抗老化作用を示すとされています。これは一体どういうことなのでしょうか。

ここからは、NMNと関係が深いNAD+の働きとサーチュイン遺伝子の役割とともに、NMNが「若返り成分」として注目される理由をより詳しく解説します。

3-1.NMNは体内でNAD+に変換

NMNは体内に吸収されると、NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)と呼ばれる物質に変換されます。

NAD+は補酵素の一種で、身体機能の維持には欠かせない物質の一つです。NAD+は、体内でアミノ酸の一種であるトリプトファンやビタミンB3(ナイアシン)から作られますが、その量はけっして多くありません。また、加齢にともない体内量が減る可能性も指摘されています。

NAD+の体内量が減る理由は長らく不明でしたが、DNA修復にともなうNAD+消費量の増加・分解の促進・合成される量の減少などの加齢による変化が関係していることがわかってきました。

NAD+のもととなるNMNを摂取すると、NAD+の体内濃度が上昇します。こうして加齢で減少したNAD+の体内濃度を維持・増加させることが、次項で述べるサーチュイン遺伝子の活性化へとつながるのです。

3-2.NAD+によるサーチュイン遺伝子の活性化が抗老化のカギ

NAD+は、身体機能の維持に欠かせないエネルギー生産に関与する物質ですが、サーチュイン遺伝子の活性化にも重要な役割を果たしています。

サーチュイン遺伝子は、老化や寿命をコントロールする遺伝子です。この遺伝子から作られる酵素は、DNA修復や細胞分裂・エネルギー代謝といった老化などの制御に欠かせません。それにより、サーチュイン遺伝子は「長寿遺伝子」とも呼ばれます。

サーチュイン遺伝子の活性化は、体力の維持や疲労の回復・身体活動量の増加や骨密度の上昇など、身体機能の改善にとっても重要です。

そのため、血液中のNAD+を増やしてサーチュイン遺伝子を活性化することが、抗老化の「カギ」の一つといわれています。

ここで、NMNに話を戻しましょう。

先述のとおり、NMNを摂取してNAD+を増やすことは、サーチュイン遺伝子を活性化することにほかなりません。

そして、NMNが「若返り成分」「抗老化成分」として注目されるのは、NMNの摂取でサーチュイン遺伝子によるさまざまな若返り効果が期待できるためです。

4.NMNの摂取方法

ここまで、NMNの摂取によるさまざまな効果について解説してきました。最後に、NMNの摂取方法と選び方を紹介します。

NMNは、サプリメントや化粧品・点滴(医師の管理下)などで取り入れることが可能です。毎日続けやすいこと・確実に体内に取り込めることなどから、現在ではサプリメントでの摂取が主流になっています。

最近はNMNサプリメントを販売するメーカーが増えてきたため、好みや予算に合わせて選びやすいことも人気の理由かもしれません。

ただし、価格が安すぎるものはNMNの含有量が少なかったり、原料が粗悪であったりするだけでなく、ひどい場合にはNMNがまったく配合されていないこともあります。

また、NMNには「α-NMN」と「β-NMN」がありますが、生体内で生成され抗老化作用が認められているのはβ-NMNのみです。

α-NMNを体内で利用する生物は存在せず、自然界にほぼ存在しない成分です。摂取しても身体から排除され、NAD+の活性化には繋がりません。

NMNを購入する際は「β-NMN」がどれくらい含まれているのか、「α-NMN」のみ含まれている商品ではないかを確認してから購入をするようにしましょう。

また、産地や工場、純度などのみを重視してサプリメントを選ぶことは避けるべきです。これらは簡単にごまかせるため、サプリメントの「質」の担保にはなりません。

サプリメント選びで参考になるのは、過去にサプリメントの販売実績があるか・独自の研究や試験を実施しているか・顧客本位の企業努力をしているかという点です。

サプリメントの成分表を見ることも大切ですが、サプリメントづくりの背景をしっかり見極めて、本当に良いものを選んでください。

5.まとめ

NMNは、緑黄色野菜や肉類などにも含まれ、ヒトの体内でも生成される成分です。

その若返り作用や抗老化作用が注目され、実際にNMNの摂取による身体機能の改善・肌トラブルの解消・さまざまな疾患に対する作用が報告されています。

そしてこれらの作用は、NMNの摂取によりNAD+の体内量が増え、結果としてサーチュイン遺伝子が活性化されるためだと考えられています。

NMNの継続的な摂取にはサプリメントがおすすめですが、粗悪な製品を購入しないように気を付けなければなりません。

サプリメント購入時には、過去の販売実績やサプリメントづくりの背景までチェックし、質の高い確かな製品を選ぶようにしましょう。

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