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季節の変わり目に考えたい“内側からのスキンケア”

季節の変わり目に考えたい“内側からのスキンケア”

【この記事の監修者】

監修者プロフィール

山本友香梨(やまもと・ゆかり)

■肩書
管理栄養士
サプリメントアドバイザーとして栄養相談及び健康補助食品の接客販売を経験。その後は母校の大学助手として、マウスを用いた動物実験や人を対象とした臨床試験の研究に携わる。現在は阿部養庵堂薬品のヘルスコンサルタントとして、健康相談や製品説明などの窓口を担っている。
■所属学会・資格
食品衛生管理者・監視員、食育実践アドバイザー、日本臨床栄養協会

「高価なコスメに替えても、肌の調子が安定しない」そんな経験はありませんか? 外側のケアは大切ですが、肌の土台をつくるのは毎日の食事と生活リズムです。栄養が不足したり、老廃物の排出が滞ると、乾燥やくすみといったトラブルが表れやすくなります。外側のケアはその“仕上げ”、内側のケアが“土台”。この二つがかみ合うと、ゆらぎにくい肌が育ちます。季節が移ろう今こそ、バランスの良い食事を心がけ、内側から整える習慣を見直してみませんか? そこでまずは、肌が日々生まれ変わる「ターンオーバー」について解説したいと思います。

Contents

ターンオーバーの仕組み

肌はおよそ28日(約4週間)を目安に新しい細胞へ入れ替わる代謝サイクル、いわゆる「ターンオーバー」によって整います。この周期は一定ではなく、一般に20代前後で約4週間、年齢を重ねるほどゆるやかに延長する傾向があります。表皮の最下層である基底層で生まれた細胞は、有棘層・顆粒層を経て角質層へと押し上げられ、最後はアカとなって自然にはがれ落ちます。この流れが円滑であれば、肌はキメが整い、うるおいと明るさ、なめらかさを感じやすくなります。

一方で、睡眠不足やストレス・栄養の偏り・紫外線・乾燥や冷え・過度な摩擦洗顔などが重なると代謝のリズムは乱れやすく、新しい細胞が生まれにくくなったり、角層のはがれが滞ったりします。その結果、乾燥やごわつき・くすみ・化粧ノリの低下・敏感化といった不調が表れやすくなります。ターンオーバーを穏やかに整えるためには、就寝・起床時刻をそろえて十分な睡眠を確保し、洗顔・保湿・紫外線対策をやさしく丁寧に続けることが大切です。

肌を作る代表栄養素

美しい肌を保つためには、まず材料となるタンパク質が欠かせません。皮膚やコラーゲンはタンパク質からつくられるため、これが不足すれば新しい皮膚を十分につくれず、うるおいやハリの低下につながります。ターンオーバーに必要なビタミンB群、ビタミンC、亜鉛、コラーゲン、食物繊維といった栄養素をバランスよく取り入れましょう。

  • ビタミンC…コラーゲンの吸収を促進し、皮膚や粘膜の健康状態を助けます。抗酸化作用を持つ代表的な栄養素ですが、体内にためておけないため果物や野菜をこまめにとることがポイントです。
  • ビタミンB群…エネルギー代謝や細胞の入れ替わりを支える補酵素として働き、ターンオーバーのリズムを支えます。
  • 食物繊維…腸内環境を整え、老廃物の排出をスムーズにします。腸が整うと栄養の吸収効率も高まり、結果的に肌づくりの土台が安定します。
  • 亜鉛…タンパク質合成や皮膚・粘膜の維持に関与する必須ミネラルです。不足すると肌荒れや爪・髪の不調につながります。

キレイになる食べ方

美肌づくりは栄養素だけでなく「どう食べるか」も大切です。まず意識したいのはよく噛むこと。噛むことによって唾液の分泌が促進されますが、唾液に含まれる成長ホルモンは皮膚や髪の毛のツヤに関係していることが分かっています。さらに、よく嚙むことで表情筋が自然に使われ、顔のたるみやほうれい線の予防にもつながります。早食いの方は要注意。一口ごとに箸を置き、いつもより5回多く噛むといった小さな工夫から始め、食事全体のリズムをゆっくりに整えていきましょう。ゆっくり食べる習慣は食べ過ぎの防止にも役立ちます。

管理栄養士からアドバイス

保湿を欠かさず、メイクはていねいに落とし、洗顔はこすらずに余分な皮脂や汚れだけを落とす。こうした外側からのケアは、肌を守るうえでとても大切です。そのうえで効果を最大限に生かす鍵が内側のケア。肌は日々、体の内側から生まれ変わっています。睡眠と生活リズムを整え、季節の野菜や果物、海藻・豆・きのこなどを食卓に少しずつ足していく、そんな小さな積み重ねがゆらぎにくい肌を育てます。今日できる一歩から、肌がよろこぶ食事と習慣をはじめたいですね。

まとめ

  • 化粧品=ブースター/食事=土台
  • ターンオーバーは20代前後で約4週間、加齢で延長
  • 鍵となる栄養素はビタミンB群、ビタミンC、亜鉛、食物繊維+毎食のタンパク質
  • 美肌の近道はよく噛んで食べること

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