寝る前の食事はなぜ良くないのか
就寝直前に食事を摂ると、胃に入った食べ物を消化するために胃腸が夜中も働き続けます。その結果、身体がしっかりと休息できず、翌朝のだるさや胃もたれにつながることがあります。特に注意したいのが以下の2点です。
1.逆流性食道炎のリスク
食後すぐ横になると、胃の内容物や胃酸が食道に逆流しやすくなります。胸やけや喉の違和感を感じる原因のひとつです。
2.脂肪の蓄積・血糖値上昇
睡眠中はエネルギー消費が少なく、糖質が余りやすくなります。余剰な糖はインスリンの作用で脂肪として蓄積され、肥満や生活習慣病リスクにもつながります。このため、就寝の2〜3時間前までに食事を終えるのが理想的です
遅い時間の食事、どうすればいい?

仕事や家事で夕食が遅くなることもありますよね。「寝るまで2時間も起きていられない…」という場合は無理に我慢せず、消化の良い軽食を選ぶのがポイントです。空腹もまた眠りを妨げる要因になるため、適度にお腹を満たすことが大切です。
胃にやさしいおすすめ食材
- 良い例:卵、牛乳、大豆製品(豆腐・納豆)、脂身の少ない肉(鶏ささみ・豚ヒレなど)、やわらかく煮た野菜(かぼちゃ・大根・人参など)
- 控えたい例:イカ・タコなどの消化に時間がかかる魚介類、ベーコンやソーセージなど脂肪の多い加工肉、唐辛子やカレーなどの刺激物
- 避けたい嗜好品:カフェインを含む飲料、アルコール類
温かいスープやおかゆ、豆腐入りの味噌汁など「身体がほっとする」軽めのメニューがおすすめです。
睡眠のしくみ

睡眠の質を良くするには、食事の工夫だけでなく睡眠のリズムを整えることも欠かせません。ここで、睡眠のしくみについて少し触れてみましょう。
睡眠には、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)の2種類があります。
この2つが90分ほどの周期で繰り返され、1晩に5〜6回のサイクルを経て脳と身体を休ませています。寝返りはレム・ノンレムの切り替え時に増え、明け方に向けてレム睡眠が徐々に長くなります。

- ノンレム睡眠:深い眠りで脳も身体も休息モード。血圧・脈拍が下がり、成長ホルモンの分泌も活発になります。
- レム睡眠:脳は活発に働き、夢を見やすい状態。寝言はこの時に多く起こり、記憶の整理が行われる時間帯です。
このリズムを乱さないためにも、胃腸への負担を減らす就寝前の過ごし方が大切です。
良質な睡眠のための環境づくり

(参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」)
睡眠の質を高めるには、食事や生活リズムだけでなく、光・温度・音・寝具などの環境づくりも大切です。
- 朝日を浴びる
日の光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜の入眠がスムーズになります。就寝前のスマートフォンや強い照明は避け、寝室はできるだけ暗くしましょう。 - 入浴と温度の工夫
就寝1〜2時間前の入浴で身体を温めると、深部体温が下がりやすくなり入眠を促します。寝室は寝室は暑すぎず寒すぎない、「少しひんやりして心地よい」と感じる程度の温度(おおよそ18〜26℃が目安)に保つことが理想です。 - 静かで落ち着く環境を
スマートフォンを持ち込まず、静かでリラックスできる空間をつくりましょう。
睡眠は「内側(食事)」と「外側(環境)」の両面から整えることで、より深く質の良い休息につながります。
管理栄養士からアドバイス

「しっかり眠れる」ことは、美容や代謝の維持にもつながります。寝不足が続くと、肌の調子が崩れたり、集中力が落ちたりと日中のパフォーマンスにも影響してしまいます。どうしても遅くなるときは、空腹を我慢するよりも温かくて胃にやさしい軽食で心と身体をほっとさせましょう。たとえば、野菜のミルクスープや鶏ささみスープなど。胃にも負担が少なくリラックスして眠りに入りやすくなります。一日の終わりを、身体をいたわる時間に変えてみませんか?ほんの少しの工夫で、翌朝の目覚めがぐっと変わります。
まとめ
- 就寝直前の食事は避け、2〜3時間前までに済ませるのが理想。
- 就寝前に食事をするときは軽くて温かい消化の良いメニューを選ぶ。
- 光・温度・静けさなど、睡眠環境を整える。
- 食事と環境の両面から“休息しやすい夜”をつくる。

