冷え性はなぜ起こる?

冷え性は体の一部だけの問題ではなく、全身の働きと深く関係しています。
- 消化・吸収力の低下
食べたものをしっかり吸収できないと、体が熱を生み出す材料が不足し、冷えにつながります。
- 貧血(鉄不足)
血液中のヘモグロビンが不足すると、末端まで酸素が十分に行き届かず、手足が冷えやすくなります。
- ホルモンバランスの乱れ
女性は月経周期や更年期など、ホルモン変動の影響を受けやすく、体温調節が不安定になりがちです。
- 自律神経の乱れ
ストレスや睡眠不足により自律神経の働きが弱まると血流が滞り、冷えを感じやすくなります。
冷え性そのものは重い病気ではありませんが、改善すると肌の血色が良くなる、低血圧が楽になる、頻尿が改善するなど、日々の過ごしやすさにつながる効果が期待できます。
①食事で“冷やさない・温める”工夫を

冷え性の改善は、まず体をできるだけ冷やさないことから始まります。
- 体を冷やしやすい食材
冬場や冷えが強い時期は控えめに。
きゅうり、ナス、ピーマン、ミカン、スイカ、柿、バナナなど
- 体を温める食材
体を温める作用のある食材を日常の食事に積極的に。
ごぼう、かぼちゃ、にんにく、しょうが、ごま、発酵食品など
寒い地域で食べられている郷土料理や冬が旬の食材には、体を温める力が強いものが多くあります。反対に、夏野菜や南国の果物は体を冷やしやすいため、控えめにしたり温かい調理法を選んだりするだけでも負担が軽くなります。
②しっかり食べて“栄養不足”を解消する

冷え性の背景には、栄養不足が隠れていることが少なくありません。体がしっかり熱を生み出せるように、次の栄養素を意識してみましょう。
- タンパク質
筋肉の材料となります。筋肉量は基礎代謝を左右し、体温に直結します。
- 鉄
酸素を運ぶ役割を担い、体温保持にとても重要。鉄不足が続くと、手足の冷えにつながります。
- ビタミンB群
脂質・糖質・タンパク質のエネルギー代謝を助ける “サポーター” のような栄養素。体が効率よく熱を生み出すために欠かせません。
- ビタミンC
鉄の吸収を助け、体の回復力にも関わります。
- ビタミンE
末梢血管の血行をよくし、冷えやすい手足の温かさを守る働きがあります。
③筋肉量を増やして“熱をつくる体”へ

筋肉は体の熱を生み出す“ストーブ”のような存在です。筋肉量が少ないと基礎代謝が低くなり、全身が冷えやすくなります。軽いウォーキングやスクワットでも、続けることで筋肉はしっかりついてきます。「運動が苦手」という方は、まずは毎日5分の筋トレや、通勤時に階段を使うなど小さな工夫から始めてみましょう。結果として平熱が上がり、冷えを感じにくい体質へと変わっていきます。
④お風呂でゆっくり温める習慣をつくる
40℃以下のぬるめのお湯にゆっくり浸かると血行がよくなり、体の芯から温まります。冬至のゆず湯は、ゆずの皮に含まれる香り成分が温熱効果を高めると言われ、昔から冷え対策に親しまれてきました。湯船に浸かる習慣は自律神経の調整にも役立ち、睡眠の質を高める効果も期待できます。
管理栄養士からアドバイス

冷え性は体質だけではなく、栄養不足や血行不良、生活習慣などさまざまな要因が重なって起こります。しかし難しいことをしなくても、毎日のちょっとした工夫でやさしく改善していくことができます。まずは温かい食事や飲み物を意識してみてください。生野菜を温野菜に変えたり、汁物を1品足したりするだけでも体がぽかぽかしてくるはずです。栄養面では、鉄はビタミンCと一緒に、たんぱく質は3食に分けてとるなど、組み合わせを意識すると効果が高まります。無理なダイエットは冷えを強めてしまうので注意が必要です。冷えを感じたときは、手足だけでなく肩や腰など大きな筋肉も温めてあげると、全身の血流がよくなります。できることから少しずつ、体をやさしく温めていきましょう。
まとめ
- 冷え性は筋肉量や栄養・血行などの不足が重なって起こる。
- 冷やす食材を控え、温める食材を意識して取り入れる。
- タンパク質・鉄・ビタミン類をしっかり補うことが重要。
- 運動と入浴で、熱をつくりやすい体へ整える。

